《翻弄されまくり人生!》
「だって昨日、誘ったのA子ちゃんだったよね?」
「だから、私は全然悪くないんですってば!」
分からない。A子ちゃんの言ってる意味がさっぱり理解できない。
「え? 俺、ずっと待ってたんだけど・・・」
「私、待っててって言ってないですから!」
何なんだ。この理屈は。ブライト艦長だったら、とっくにぶたれてるぞ。
そして、A子ちゃんはさらに暴走を始める・・・
「ねぇ、俺たち付き合ってるんだよね」
「はぁ? 言いましたっけ。私、そんなこと」
「言ったよ。この前言ったじゃん。忘れるってありえねえだろ」
「この前はでしょ! それ!」
この前は?
「え? 『この前』って?」
「この前は一回だけ言いましたよ。『付き合って欲しい』って。でも、その時一回だけですよね」
ダメだ。どうしても理解できない。
「一回言えば、普通それからずっと付き合うってことじゃねーの? そう思うだろ。誰だって!」
声を荒げてみたものの、私の言葉にはてんで迫力がありませんでした。
どんなことがあろうと、一度好きになった女性を私はなかなか嫌いになれない性質なのです。
そして、じっと恨めしそうに見つめる私に向かって、彼女が放った改心の一撃・・・
「だって、しょうがないじゃない。はじめっから全然好きじゃないもん。どっちかっていうと嫌いだもん!」
!!!!!
はじめって、どこのはじめのことだよ!!!!!
しかも、「どっちかっていうと嫌い」って、余計リアルにヘコむじゃねーか!!!
っていうか、じゃあ、告白とかすんなよな。そんな言葉をその気にする男だっているんだから・・・
そして彼女はゆっくりと振り返り、私に背を向けると・・・
「じゃあ、私、これからバイトなんで」
そんなこと分かってるよ! 俺も今からバイトだよ! しかも、ここでな!!!
・・・その後、私は2週間ほどでそのバイトをやめました。
後からバイト仲間に聞いた話によると、どうやら私に告白した頃というのは、
彼氏に振られたばかりの頃だったらしく、まぁ、簡単に言うと、さみしいから誰でもよかったらしいです。
私がバイト先をやめてから、何度か「コバヤシさんって、どうしてバイトやめちゃったんですか?」と、
普通に聞かれたそうです。きっと、私たちには理解できない思考回路を持っていたんだと思います。
小悪魔・・・いや、彼女は大悪魔でした。
早く、そんな女性にひっかからない男になりたいものです・・・
そんなことを考えながら今日も「うまい棒」をかじる小粋な30代独身。しかし、ホントにうまい。
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